「お妙…わしに…そなたの心をくれ…」
いつもと違う家治の様子に怯えるように、家治を見るお妙に、家治は、お妙の心を自分にくれと哀願する。
「もう…例え…あの者がそなたを受け入れると言っても…わしは…そなたを手放さぬ…」
組み敷かれて怯えるお妙に、家治は、例え蔵之介が自分に抱かれたお妙を受け入れると言っても、自分はお妙を手放すつもりなどないと呟く。
「上様…」
「だから…心も…わしのものとなれ…」
どういう言葉を掛けていいかわからない表情を浮かべるお妙に、家治は、もう心も自分のものにさせて欲しいと呟く。
「わしは…そなたを知り尽くしておる…どうすれば…そなたが喜ぶか知り尽くしておる…」
無体な真似はやめて欲しいと呟き続けるお妙に、家治は、自分はお妙がどうされれば悦ぶのか知り尽くしていると呟きながら、お妙の身体に唇を這わせ続ける。
「上…様…あぁっ…」
「そうだ…もっと…啼くのだ…そして…心もわしのものだと言うのだ…」
家治に知り尽くされた身体を責められ、甘く息を吐くお妙に、家治は、自分が与える快楽にもっと啼けと呟き、心も自分の物だと言えとお妙に迫る。
「あっ…んっ…やっ…んっ…はっ…んっ…」
「そうだ…もっと…啼け…そなたはもう…わしの腕の中でしか啼くことは許されぬ…」
知り尽くしたお妙の身体を責めながら、甘い嬌声を上げるお妙に、家治は、お妙はもう自分以外の男の腕の中で啼くことが許されない身の上なのだと呟き続ける。
それがただの嫉妬である事は、家治にも十分わかっていた。
だが、身体はすでに征服しているのに心を征服できない苛立ちを家治は感じていた。