大奥恋絵巻ー6

「可愛いな…御台が薦めるのも納得がいった…」


 家治は、布団に横たわらされたお妙の顔をまじまじと見ながら、瑤子が薦めてきたのにも納得がいくくらいに、お妙は可愛い顔をしていると囁く。


「上様…私には…」


「許婚など…わしの前では些細な事…」


 自分にはれっきとした許婚がいるのだと言おうとしたお妙の言葉を遮るように、家治は、許婚が居る事など自分の前では何の意味も持たないと囁き、お妙の首筋に唇を落とす。


「あっ…いやっ…」


「嫌ではなく…嬉しいと言うのだ…こういう時は…」


 許婚の蔵之介に捧げるはずだった純潔を、いま、家治に奪われるという事態に、お妙が思わず口にしてしまった拒絶の言葉に、家治は、少し苦笑いを浮かべた後、お妙の白襦袢の前を肌蹴させ、現れた膨らみを弄り、膨らみに口付ける。


「あ、いや、やめて…」


 初めて感じるぞくっとした甘い疼きに、お妙は、家治の身体をやんわりと押し返す。


「この家治を拒むなど…許される事ではないぞ…」


 身体を押し返されるという初めての経験に、家治の心にかつてない程の欲情が沸き立ってきていた。


「しかし…上質の絹のような肌だな…色も感触も…気に入ったぞ…」



 お妙の身体を撫で回しながら、家治は、お妙の肌の感触が上質の絹のようで気に入ったと囁くと、お妙の反応を引き出すように、肩から胸そして脇腹それから太腿に根気よく唇を這わせていく。


「あ…いやっ…なに…これ…」


「感じやすいのだな…その反応…とても気に入った…」


 初めて知る感覚に戸惑うお妙に、家治は満足そうに笑う。