その日の夜…あやかは、紫苑の両親が主催するパーティーに紫苑と共に出席していた。御影家当主夫妻の主催するパーティーとあって、政財界の大物たちやその婦人たちや令嬢たちが出席して、 主催者は紫苑の両親だが、主役は、紫苑とあやかで、御影家の次期当主である紫苑とその紫苑との結婚を控えているあやかを一目見ようと政財界の大物たちとその婦人たちや令嬢たちは挙って出席していた。
特にあやかのオートクチュールのドレスに身を包んだ姿は、物語の中から出てきたシンデレラのようだと絶賛されていた。
「紫苑、あやかさんの立ち振る舞いは、本当にお姫様みたいね」
「言ったじゃありませんか…彼女は磨けば光ると…」
会場で出席者をもてなすあやかの姿を見て、本当にお姫様みたいだと紫苑に声を掛ける紫苑の母の優里に、紫苑は、あやかは磨けば光ると前に言ったではないかと答える。
「やはり、朝宮の血が彼女を光らせているのかもしれないな」
「血筋だけではありません…あやかさん自身が光るものを持っているのです」
やはり、朝宮の血を引くものだと感嘆する紫苑の父の春登に、紫苑は、朝宮の血を引いているという理由だけではなく、あやか自身が内面から光るものを持っているからなのだと答える。
「ごらんください…彼女は完全に今日の主役です…」
出席したご婦人方や令嬢たちに囲まれるあやかを見ながら、紫苑は、春登と優里に、あやかはもう完全に今夜のパーティーの主役となっていると呟く。その呟きに、春登も優里も首を縦に振る。
「紫苑、あやかさんばかりにお相手させるのはよくなくてよ」
「はい。では、後ほど」
出席者のもてなしをあやかばかりにさせてはいけないと声を掛けてきた優里に、紫苑は、後ほどまた来ると言い残し、あやかのもとに行く。
「あなた…御影家に素晴らしい方が嫁いでまいりますのね…」
「うむ…初めは…御影家に馴染めるかと思っていたが…会う人間の心を掴んでいく…」
御影家にあやかのような素晴らしい女性が嫁いでくるのかと、春登に声を掛けた優里に、春登は、初めは御影家に馴染めるかどうか心配だったが、会う人間の心を掴んでいくあやかの姿は御影家の嫁として申し分ないと答える。
「何より…あの紫苑が…子供のように…笑って…」
春登の言葉を受けて、優里は、紫苑がまるで子供のように笑っていると嬉しそうに呟く。
「そうだな…いままでの紫苑は…御影家の次期当主という立場に縛られていたが…彼女のおかげで…肩の力がうまく抜けた行動を取るようになってきている…」
優里の呟きに、春登は、いままでの紫苑は、御影家の次期当主という立場に縛られた行動しか取れていなかったが、あやかのおかげで、肩の力がうまく抜けた行動を取るようになってきていると答える。