純白の恋人ー51

 翌日…紫苑は、父の春登と母の優里を昼食の場に呼び出した。
 
 
「紫苑さん…本当に…大丈夫ですか…?」
 
 
「大丈夫だよ…君は朝宮家の血を引く人間とわかったんだから…僕の両親も反対する理由はない…」
 
 
 春登と優里が来るまでの間、本当に大丈夫なのかと訊ねるあやかに、紫苑は、家柄を重んじる両親が、朝宮家の血を引く人間であるあやかとの交際を反対する理由などないはずだと笑いかける。そこへ、春登と優里がやって来た。
 
 
「突然お呼び立てしてすみません…実は…紹介したい人がいるのです…」
 
 
 春登と優里を前にした紫苑は、突然呼び出した無礼を詫びた後、紹介したい人がいるのだと春登と優里に告げる。
 
 
「お父様、お母様、こちら、白岡あやかさんです…」
 
 
「初めまして…白岡…あやかです…」
 
 
 紫苑は、春登と優里にあやかを紹介し、あやかも、たどたどしく自己紹介する。
 
 
「この娘さんと…お付き合いしてらっしゃるの…?紫苑…」
 
 
「そうです…僕は…このあやかさんと結婚を前提にお付き合いしています…」
 
 
 優里に、あやかと付き合っているのかと訊ねられた紫苑は、結婚を前提に付き合っている事を優里に伝える。
 
 
「どこかで見たことがあると思ったら、お前が新しく雇った秘書じゃないか」
 
 
「そうです…いまは、僕の秘書をしていますが、あやかさんは、朝宮家の血を引く人間なのです」
 
 
 春登に、どこかで見た事があると思えば紫苑の秘書じゃないかと言われた紫苑は、いま、あやかは、自分の秘書をしているが、あやかは朝宮家の血を引く人間なのだと告げる。
 
 
「朝宮家にはこんな若い娘はいなかったはずだ」
 
 
「昨日、朝宮賢三様と会食した時にわかったのです…あやかさんが賢三氏の娘さんの忘れ形見である事が」
 
 
朝宮家にはこんなに若い娘はいなかったはずだという春登に、紫苑は、昨日わかった事だが、あやかが朝宮賢三の娘の忘れ形見であると告げる。
 
 
「麗華さんには…この娘さんは一之瀬家の愛人の娘だと聞いていますよ…」
 
 
「その愛人が…朝宮賢三氏の娘さんだったのです…」
 
 
 麗華からあやかが一之瀬家の愛人の娘だと聞いていると呟いた優里に、紫苑は、その愛人が朝宮賢三氏の娘だったのだと答える。
 
 
「名字が違うのは…母が別の方と結婚していたからです…そして…不本意な形で…母は一之瀬家京介の愛人になったのです…」
 
 
 あやかは、母の名誉を守るために、名字が違う理由と一之瀬京介の愛人になったのは、決して本意ではなかった事を春登と優里に伝える。紫苑との交際を認めてもらうために、あやかは真剣にそれを伝える。