純白の恋人ー52

「朝宮賢三氏の孫娘か…しかし…いままでが…」
 
 
「そうですわね…」
 
 
 朝宮賢三の孫娘なら、御影家にふさわしいが、いままでがいままでだからと、春登と優里は交際を渋る。
 
 
「彼女は…磨けば光ります…以前…知らずに連れて行ったパーティーで…会場中の視線を集めました…洗練されたお嬢様だと…」
 
 
 いままで庶民の生活をしていたからと渋る春登と優里に、紫苑は、あやかは、内面から光るものを持っている、以前に連れて行ったパーティーで洗練されたお嬢様だと評価された事もあったから大丈夫だと告げる。
 
 
「どうします…?あなた…」
 
 
「う~ん…血筋は…文句ない…紫苑も…真剣…しかし…竜崎家との付き合いもあるしな…」
 
 
 あやかの血筋にも文句はないし、紫苑も真剣なのはわかるのだが、竜崎家との関係を考えると春登と優里は悩むのだと、紫苑に告げる。
 
 
「お父様、お母様、僕は、このあやかさん以外の人と結婚するつもりはありません…」
 
 
「わかっているのよ…紫苑の真剣な気持ちは…でもね…」
 
 
 あやか以外の女性と結婚するつもりはないという紫苑に、優里は、紫苑の真剣な気持ちはわかるけれど、相手が相手だけに悩むのだと呟く。
 
 
「あやかさんは…紫苑の事は…どう思っていらっしゃるの…?」
 
 
 優里は、あやかに、紫苑の事は一体どう思っているのかと問いかける。
 
 
「初めは…住む世界の違う人だと思っていました…でも…紫苑さんと…関わっていくうちに…紫苑さんを慕っていく自分に気付きました…」
 
 
 優里の問いに、あやかは、初めは、紫苑の事を住む世界の違う人としか思っていなかったけれど、紫苑と関わっていくうちに、紫苑を慕っていく自分がいる事に気付いたと告げる。
 
 
「あやかさんのお母様は…?」
 
 
「高校を卒業した時に…事故で…亡くなりました…」
 
 
 優里に、あやかの母親は健在かと訊かれたあやかは、自分が高校を卒業した時に事故で亡くなったと答える。
 
 
「そうだったの…じゃあ…お身内は…?」
 
 
「昨日知った…朝宮家の方々だけです…」
 
 
 じゃあ、身内はいないのかと訊ねる優里に、あやかは、身内といっていいかわからないが、昨日知った朝宮家の人間だけだと答える。
 
 
「あなた…」
 
 
「うん…紫苑…彼女を我が家で教育するんだ…御影家にふさわしい人間に…」
 
 
「お父様…お母様…ありがとうございます…」」
 
 春登に、あやかを御影家にふさわしい人間に教育するのだと言われた紫苑は、あやかとの交際を認めてくれてありがとうと、春登と優里に深く頭を下げる。