それから…数か月…西田とかなみは、同伴やアフターを繰り返しながら、客とホステスの関係を続けてきた。
そんなある夜…この日、西田は店に行ったが、かなみが休みと聞いて、以前、アフターの帰りに送ってきたかなみの家の前にいた。
「なんか…ストーカーみたいだな…」
かなみの家の前で佇む西田は、自分がストーカー行為をしているような感覚に陥る。その時、家の中から物音とかなみの叫び声がした。
「彩乃」
西田は、なりふり構わずかなみの家の中に飛び込んでいく。家の中に飛び込むとそこには、かなみが勤める店の支配人がかなみを組み伏せる光景が広がっていた。
「彼女から離れるんだ」
西田は、支配人を押しのけ、かなみを支配人から引き離す。
「こんなこと許されると思っているのか」
支配人を務める店のホステスにこんなことをして許されると思っているのかと西田は、支配人を非難する。非難された支配人は舌打ちした後、かなみの家から出て行った。
「大丈夫か?」
「はい…ありがとうございます…」
大丈夫かと声を掛けた西田に、かなみは大丈夫だと答えた後、助けてくれた礼を述べる。しかし、その身体は心なしか震えていた。
その姿を見た西田は、怖い思いをしたのだから仕方ないと、その震える身体を抱き締める。
「西田様…」
「何も言わなくてもいい…」
恐怖で身体を震わせながら、西田に縋り付いてきたかなみを西田はただ抱き締める。その瞬間、かなみと西田の視線が重なる。西田はかなみの唇に自分の唇を重ねる。
「すまない…怖い思いをしたばかりなのに…」
「いいえ…大丈夫です…」
自分が勤める店の支配人に襲われた後だというのに、こんな事をしてしまってすまないと呟く西田に、かなみは首を横に振り、大丈夫だと呟く。
「彩乃…年寄りの哀れな恋と笑わないで聞いてくれ…わしは…彩乃に…恋をしてしまったのだ…」
「西田様…」
西田の告白に、かなみは、突然の事に驚きながらも、しっかりと西田を見据える。
「彩乃…もう…あの店で働くのは無理だろう…それなら…この家を保てるくらいの援助はわしがしてやろう…」
自分をしっかりと見据えるかなみに、西田は、こんな事があったら、あの店で働くのは無理だろうから、自分がかなみの家を保てるくらいの援助はしてやると切り出す。