平安恋奇譚ー34

 熱い…寒い…冷たい…痛い…苦しい…


あらゆる苦しみがまりに襲いかかり、まりは死を覚悟した。


蒼を想う苦しみから逃れる手段として蒼との交わりに溺れていた。


だから、もういいのだと…


「まり…死ぬな…お前が死んだら…私は…どうすればいい…」


 朦朧とする意識の中で、まりは蒼の声を聞いた。


「蒼…様…」


「まり、大丈夫か?苦しくないか?」


ゆっくりと目を開けたまりに、蒼は、安堵したようにまりを抱き締めると、どこか苦しいところはないかと問いかける。


「あの…血の盟約は…成立…」


「あぁ…している…私とお前は…死ぬ時も一緒だ…」


 血の盟約は成立したのかと心配するまりに、蒼は、血の盟約はちゃんと成立して、自分とまりはもう死ぬ時も一緒だと答える。


「すまない…危険な目に遭わせて…私がお前を好きだと言えなかったばかりに…」


「いいえ…それよりも…蒼様…私の事…好きなのですか…?」


 魔物の王としての自尊心ゆえに、まりに想いを伝えられなかった事を詫びる蒼に、まりは、蒼が自分の事を好きなってくれていたのかと問いかける。


「あぁ…好きだ…お前が私を想っている以上に…お前が好きだ…」


まりの問いかけに、蒼は、まりが自分を想っている以上に、まりが好きだと答え、まりに口付ける。


まりが無事生還したのを喜ぶように、蒼は、何度もまりに口付ける