「それではまた。デートしましょう」
れいかを自宅としているマンションの前まで送って来たひろきは、またデートをしようと告げると、れいかの頬に口付けて帰っていった。
「(何なの…?紳士なのか…野獣なのか…わからない…あの態度は…)」
映画館という暗闇の中やエレベーターの中という場所で欲情を誘って来たかと思えば、帰り際の頬への口付けだけというひろきの行為に、れいかはただ戸惑う。
「(でも…指だけで…イカされたのなんて…初めてだわ…)」
エレベーターの中という場所だけでなく、指だけであそこまでなったのは初めてだったれいかは、益々ひろきに惹かれていくのを感じていた。
「(あっ…身体の奥が…まだ熱い…)」
ひろきに弄ばれた乙女の丘に燻っている熱を感じたれいかは、そっと下着の中に手を忍ばせると、ひろきの指の動きを真似るように、自分の指を動かし始める。
「あっ…んっ…やっ…んっ…はっ…んっ…ふっ…くっ…あぁっ…」
ひろきに指で弄られた時とは若干劣るが、甘い快感が、全身を駆け巡り、れいかはひろきの指の動きを思い出しながら、乙女の丘の頂にある陰核を弄り続ける。
「あっ…んっ…ひろき…さん…だめっ…いっちゃう…」
駆け抜けた小さな絶頂の前兆に、れいかは、ひろきの名を呼びながら、小さな絶頂へと上り詰めていく。
「はぁ…はぁ…自分で…自分を…慰めてしまった…」
自慰行為をしたことはなかったわけではないが、ただ指で弄ばれただけなのに、ひろきの名を呼びながら、自慰行為に走ってしまった自分を、れいかは信じられずにいた。
「(ひろきさん…私…あなたを…)」
ひろきにされた行為によって、自分の中に目覚めた何かを感じ取ったれいかは、ひろきにただ惹かれたのではない事を、自慰行為によって思い知らされる。