「ここです…」
ひろきは、れいかにとあるマンションを指さし、れいかの腰を抱きながら、マンションの中へと入っていく。
「ここは…?」
「友人が住んでいるマンションです…」
ここはどこかと訊ねるれいかに、ひろきは、さっき言っていた面白い友人が住んでいるマンションだと答える。
「相変わらず鍵が開けっぱなしだ…」
「ちょっと…勝手に入るのは…」
鍵が開いているからと勝手に部屋の中に入っていくひろきに、れいかは、他人が住んでいる部屋に入っていくのはよくないのではと声を掛ける。
「彼の職業柄、これは、当たり前なんだ」
れいかの言葉に、ひろきは、鍵が開きっぱなしなっているのは、その友人の職業柄当たり前なのだと笑い、部屋の中へと入っていく。
ひろきに促されるまま、部屋の中へと入っていったれいかは、部屋の奥から聞こえてくる声に、驚かずにはいられなかった。
自分の耳が確かなら、いまその友人は、睦み合いの真っ最中だと。
「相変わらず仲のいいことだ…ここで待ちましょう…」
部屋の奥から聞こえてくる声に、れいかがどうしていいかわからない表情を浮かべていると、ひろきが、ここで友人が出てくるのを待とうと声を掛けてきて、れいかは、ひろきに促されるまま、リビングのソファーに座る。
「これは一体…どういうつもりなのですか…?」
奥から聞こえてくる声に、全く動じる事もなく、リビングのソファーに座り続けるひろきに、れいかは、一体なぜ、自分をここに連れてきたのかと問いかける。