女神の悪戯ー7

「あっ…うっ…んっ…はっ…んっ…」


 由紀夫が雪菜の躰に唇を滑らせる度に、雪菜は甘くもあり官能的でもある声を漏らしながら、躰をのけ反らせる。色白の肌はすでに赤みを帯び、欲情によって躰が熱を持っている事は由紀夫にもわかるくらいだった。


「雪菜…嬉しいよ…こんなに感じてくれて…嬉しいよ…」


 雪菜の躰に唇を這わせながら、由紀夫は自分の拙い愛撫に甘くもあり官能的でもある声を漏らし、反応する雪菜に、自分の拙い愛撫にこんなに反応してくれて嬉しいと雪菜の耳元に囁く。


愛娘の佳奈美が生まれてから妻の雅美との夜の夫婦生活は月にごく数えるくらいになっていた…愛し合うというより、子作り優先な感覚の夜の営み…しかし、今は新鮮な反応をする雪菜を感じていたい…もっと雪菜が欲しい…雪菜の全てを征服したい…久々に感じる愛し合うという感覚に、由紀夫は自分が欲情に溺れていくのを感じていた。


「はっ…うっ…んっ…あぁっ…」


 由紀夫の細やかでかつ熱い愛撫によって、雪菜は自分がかつてないほどに欲情が高められていくのを感じていた。


夜の夫婦生活は夫優先で、雪菜が達する前にいつも終わっていた。


しかし、自分は夫しか知らない…そんなものかと思っていたが、今は違う…全身の血潮が沸き上がっていくような感覚…これが愛し合うという感覚なのか…これが女の喜びというものかと…雪菜は由紀夫の愛撫だけで達しそうになっている自分を感じていた。


「はぁっ…あっ…んっ…あぁっ…」


 由紀夫が突き上げるたびに、雪菜は黒くて長い黒髪を乱しながら、躰をのけ反らし、甘く官能的な声で啼き続ける。


その姿に、雪菜は雪菜の夫に抱かれる時もこんな風に啼いているのだろうかという思いが由紀夫の脳裏に過っていた。自分の知らない雪菜…長い歳月が由紀夫の知らない雪菜を作らせた事に、由紀夫は苛立ちにも似た感情を抱いていた。


「由紀夫さん…」


 一線を越える情事が終わり、初めて達した喜びに浸りながら、雪菜は啼き疲れて掠れた声で由紀夫の名を呼ぶ。


「ん…?」


 啼き疲れて掠れてしまったが官能的な部分が残った声で自分を呼び、自分を見上げてきた雪菜を由紀夫は抱き寄せる。雪菜の躰はまだ欲情の熱が残っていた。


「私…こんな感覚…初めて…私…主人しか知らないから…」


「そうか…」


 夫しか知らないけれど、こんなに満ち足りた気分は初めてだと呟く雪菜に、由紀夫は一種の征服感を覚えながらも、夫しか知らないという言葉に一種の敗北感を覚えていた。


大学時代の恩師と結婚したと言っていた…歳も離れていると言っていた…その恩師が雪菜の夫で、雪菜の初めての男という事実に、由紀夫は、敗北感を感じていた。