純白の恋人ー16

 熱く乱れた後にやってきた戸惑いの時間…あやかは、初めての経験なのに乱れてしまった事に戸惑うように、紫苑に背を向けて横たわる。


「あやかさん…どうして…僕を…見てくれないのですか…?」


 自分に背を向けて横たわる続けるあやかに、紫苑は、どうして自分を見てはくれないのかと問いかける。


「だって…あんな声出して…私…淫乱…なんです…」


 紫苑の問いかけに、あやかは、初めての経験なのに、あんなはしたない声出してしまった自分は淫乱なのだと呟く。


「そんな事…ありませんよ…あなたは…感じやすいだけです…寧ろ…僕は…嬉しいのです…あなたの乱れる姿を見る事が出来て…だから…僕の方を見てください…」


自分は淫乱だと嘆くあやかに、紫苑は、あやかは感度がいいだけだからと声を掛けた後、寧ろ、自分はそんなあやかを見る事が出来て嬉しいのだと囁きかけ、自分の方を見て欲しいと囁きかける。


「嫌です…」


「お願いですから…僕を見てください…」


 紫苑の方を見ようとしないあやかに、紫苑は、お願いだから自分の方を見て欲しいと囁きかけると、あやかの顔を覗き込む。


「見ないでください…」


「どうしてですか…?」


 あやかの顔を覗き込んだ紫苑に、見ないでくれと呟くあやかに、紫苑はどうしてなのかと問いかけ、さらにあやかの顔を覗き込む。


 紫苑があやかの顔を覗き込むと、あやかの目は赤くなっていて泣いていたのがすぐにわかった。


「どうして…泣くのですか…?僕が…嫌いですか…?」


「いえっ…そうではなくて…」


 泣くほど自分が嫌いなのかと問いかける紫苑に、あやかはそうではないと答える。


「これが…紫苑さんの…気まぐれだったらと思うと…」


 泣くほどに自分が嫌いなのかと問いかけてきた紫苑に、あやかは、これが紫苑の気まぐれだったらと思うと、自然と涙が出てくるのだと呟く。


「僕は…気まぐれなんかで…女性を抱いたりなんかしません…まして…あやかさんみたいな魅力的な人を…傷つけるような事など…できません…」


 あやかの呟きに、紫苑は、あやかを自分の方に向かせると、あやかを抱き締めながら、自分は中途半端な気持ちであやかを抱いたわけではない事を伝えた後、あやかを慈しむようにあやかの額に口付ける。


 その口付けに、あやかは、紫苑の確かな気持ちを感じ取り、紫苑の胸に顔を埋める。夜明けが近づく時間になっても、紫苑とあやかは互いの気持ちを確かめるように口付け合う。