雪月花ー16

「かなみさん…いきますよ…いいですね…?」
 
「はい…」
 
 かなみの秘丘から顔を上げたわたるは、かなみに、いまから一つになるけれどいいかと訊ね、かなみもそれに頷く。
 
 その返事を聞いたわたるは、かなみの秘丘に自分の分身をあてがうと、かなみの中へと突き進む。
 
「あっ…んっ…ふっ…あっ…あぁっ…」
 
 緩急のついたわたるの突き上げに、かなみは、西田が見ているのにも関わらず、甘く艶やかな声を上げ、わたるの背中にしがみつくように抱き付く。
 
「やめろ、やめるんだ。かなみもなぜ拒否しない」
 
 目の前に広がる光景に、西田は、やめろと叫び、かなみもなぜ自分が見ている前でわたるを受け入れるのかと叫ぶように訊ねる。
 
 先程と反対の立場となった西田は、かなみの変化に気付く。自分が抱いている時のかなみはあんな声を出したことはなかったし、あんなに大胆な事はしなかった。
 
「わたるさん…私…もう…」
 
「いいですよ…僕も…限界ですから…」
 
 絶頂の前兆を知らせてきたかなみに、わたるは、自分も限界だと囁くと、かなみに口付け、腰の律動を速め、かなみを絶頂へと導く。
 
 絶頂に達したかなみは、身体を仰け反らせ、わたるの背中に爪を立て、一際大きな嬌声を上げる。
 
「かなみさん…大丈夫…ですか…?」
 
「はい…」
 
 互いに絶頂に達し、荒い呼吸もそのままに、見つめ合ったわたるとかなみは、深く口付け合う。そこにはもう誰も立ち入ることはできなかった。
 
「なぜ…なぜなんだ…かなみ…」
 
 そこに誰もいないかのように、深く口付け合うわたるとかなみを見ながら、西田は、かなみになぜなんだと問いかける。
 
「言ったはずです…僕は…社長に抱かれた直後のかなみさんを抱けるって…」
 
 絶頂に達し、眠り始めたかなみの髪を撫でながら、わたるは、西田に、自分は西田が抱いた直後のかなみを抱けると言ったはずだと呟きかける。
 
「貴様、これで勝ったと思うなよ。かなみは私から離れる事はできないのだからな」
 
「別に…勝負しているわけではありません…僕は…純粋に…かなみさんを…愛しただけです…」
 
 これで勝ったと思うな、かなみは自分から離れられないと吐き捨てた西田に、わたるは、別に勝負しているわけではない、自分はただ純粋にかなみを愛しただけだと呟く。
 
 かなみが籠の鳥じゃなくなる日が来なくても、かなみを愛し続けると。