愛しき罪ー18

『あの…要件って…何ですか…?』


 かつてないドキドキ感を堪えるように、朱里は、弓月に要件があるなら早く言ってくれと切り出す。


『そうだったね…あのさ…今日…仕事の方…休めないかい…?』


『えっ…?』


 朱里から要件は何かと切り出された弓月は、かつてないドキドキ感を抑えられないとばかりに、今日、デリヘルの仕事は休む事ができるのかと問いかけ、問いかけられた朱里は、驚きで固まる。


『どうしてですか…?』


『ちょっと…ドライブに…付き合って…欲しくて…』


 どうして仕事を休んで欲しいのかと問いかける朱里に、弓月は、少しドライブに付き合って欲しいのだと切り出す。


『それは…須崎朱里としてですか…?それとも…』


『もちろん、須崎さんとしてだよ…』


 それは本名である須崎朱里としてなのか、それともデリヘル嬢のめぐみとしてなのかと朱里に問いかけられた弓月は、もちろん須崎朱里として誘っているのだと答える。


『お断りします。そちらの立場も危なくなりますよ』


 弓月にドライブに誘われた嬉しさを堪えながら、朱里は、弓月の誘いをそちらの立場が悪くなるからと断る。


『そう言うと思って…もう近くまで来ているんだ…』


『だったら…そのままお帰り下さい…私は個人的な仕事はしませんから…』


 朱里が断る事を前提にして近くまで来ているという弓月に、朱里は、かつてない程のドキドキ感を堪えつつ、自分は須崎朱里として逢う事はしないと答え、このまま帰るようにと弓月に告げる。