砂漠の薔薇ー37

「リンコ…?それは…どういう意味だ…?」


 もしもうすでにアスランの子を孕んでいたとしたらどうするのかと、意味深に笑う凛子に、アスランは、凛子の真意が読み取れないとばかりに凛子を見る。


「言葉をそのまま受け取ればいいのです…決まりには反しているかもしれませんが…」


 自分の言葉に戸惑うアスランに、凛子は、アスランの手を取り、ハレムの決まりに反しているかもしれないが、言葉をそのまま受け取ってほしいと呟く。


「言葉をそのまま受け取れと言われても…えっ?もしや?リンコ?」

 
 自分の手を取りながら意味深に笑い続ける凛子の笑いの意味を感じ取ったアスランは、それは本当かと問いかける。


「はい…医師が…間違いないと…」


 アスランの問いに、凛子は、初夜をやり直すにあたって診てもらった医師が間違いなくアスランの子を身籠っていると断言した事を告げる。


「そうか…私の子を…リンコ…嬉しいぞ…」


 凛子から告げられた事実に、アスランは飛び上がりたくなるほどの喜びを隠すことなく、凛子を抱き上げると、よかったと呟き続ける。


「だが、孕んだのは今夜だ…診察した医師にもそう言わせよう…」


 凛子が自分の子を身籠った事実に喜びながらも、アスランは、凛子が身籠ったのは今夜の交渉であり、凛子の妊娠を断定させた医師にもそう言わせるようにと凛子に告げる。


「よいな…今夜…リンコは…私の子を孕んだ…そうすれば…誰も文句は言わない…」


 正式な初夜を迎える前にアスランの子を孕んだと知られれば、その子が男子だった場合、世継ぎ候補から外れると思ったアスランは、凛子に、自分の子を身籠ったのは今夜なのだと周囲に言い張るよう告げる。


「はい…アスラン様…」


 アスランの真意を知った凛子は、アスランに今夜身籠った事にすると答える。