純白の恋人ー11

「あやかさん…」


 紫苑は、あやかを自分の方に向き直らせると、あやかの唇に、触れるように、自分の唇を重ねる。その口付けをあやかは受け入れ、口付けは深いものとなっていく。


「もう…帰さないよ…君に…僕の気持ちを知ってもらうまで…」


 唇を離した後、紫苑は、あやかの唇をなぞりながら、あやかが自分の気持ちをわかってくれるまで帰さないと呟き、あやかをベッドへと運んでいく。


「あの…ドレスが…」


 紫苑にベッドに運ばれながら、これから起きる出来事を予感したあやかは、ドレスにしわができてしまうと、紫苑に声を掛ける。


「クリーニングに出せばいい…着替えが必要ならすぐに取り寄せる」


 あやかのささやかな抵抗とも取れる言葉に、紫苑は、ドレスにしわができたら、クリーニングに出せばいいし、着替えが必要ならすぐに取り寄せると笑いかける。


「紫苑さん…だめです…こんな事…」


 ベッドに横たわらされたあやかは、やはりこういう事はいけないと紫苑に呟く。


「いけない事って…こんな事…?」


 あやかのささやかな抵抗に、紫苑は、いけない事とはこういう事かと問いかけた後、あやかに深く口付ける。


「あっ…だめ…です…紫苑…さん…」


 首筋に添えられた紫苑の唇を感じながら、あやかは、紫苑に、こういう事はだめだと呟き続ける。


「もう…僕を…止める事は…できないよ…?」


「そうではなくて…あの…」


 もう自分を止める事はできないと優しく囁きかける紫苑に、あやかは言いづらそうに、こんな形では嫌なのだと呟く。


「もしかして…君は…まだ…男性を知らないのかい…?」


「いけませんか…?」


 あやかの言いかけた言葉を察した紫苑は、まだ純潔を守っているのかと問いかけ、問いかけられたあやかは、この年齢まで男性を知らない事はいけない事かと問い返す。


「それは…いけない事をした…さぁ…おいで…最初からやり直そう…」


 あやかの問い返しを聞いた紫苑は、あやかをベッドから抱き起すと、無理強いじみた行動に出た事を詫びると、あやかの頬に口付ける。


「記念に残るような夜にしなくてはいけないね…?」


 紫苑は、自分があやかの純潔を奪う立場になったのだとわかった瞬間、あやかに、今夜が記念に残る夜になるようにすると笑いかけ、ルームサービスを頼み始める。


 紫苑が何を注文しているのかはわからないが、きっと紫苑の事だ,から高級品を注文しているに違いないとあやかは思っていた。