雪月花ー20

「この家は…亡くなった両親が残してくれた家です…」


 わたるの問いに、かなみは、この家は、数年前に相次いで亡くなった両親が残してくれた家だと答える。


「かなみさん…あなたは…一体…」


 かなみの答えに、わたるは、こんな大きな家を残してもらえるくらいのお嬢様なのかと問いかける。


「お嬢様ではないです…この家は…両親がせっせとローンを返して残してくれた家です…」


 わたるの問いに、かなみは、お嬢様ではないと答えた後、この家は、両親がせっせとローンを返して残してくれた家だと答える。


「かなみさん…あなたって人は…」


「もしかして…西田に囲われていたから住んでいたと思っていたのですか…?」


「そうですよ…」


 この家がかなみの両親が残してくれた家だと知って、安堵するわたるに、かなみは、もしかして、西田に囲われていたから住んでいたと思っていたのかと問いかけ、問いかけられたわたるは、てっきりそうだと思っていたと答える。


「もし…そうなら…金木犀は切られてましたよ?」


「あっ…そうか…」


 もしそうだったら、裏手にある金木犀は切られていたと笑うかなみに、わたるは、そういわれてみればそうだと考える。


「僕…かなみさんの事…何にも知らない…」


「これからたくさん知ってください…」


 かなみの事を何にも知らないと呟いたわたるに、かなみは、これからたくさん知ってくださいと呟き、笑いかける。


「はい…これからたくさん…教えてください…かなみさんの事…」


「はい…わたるさんの事も…教えてくださいね…」


 これからたくさんかなみを知りたいから、教えて欲しいと呟いたわたるに、かなみは、はいと頷いた後、自分にもわたるの事をたくさん教えて欲しいと呟く。


「はい…もういいっていうくらいに…僕の事…教えます…」


「お願いします…」


 かなみの呟きに、わたるは嬉しそうに頷くと、これからいやというくらいに自分の事を教えると呟き、それを聞いたかなみは、お願いしますと笑いかける。


「まず…最初に知ってもらいたいのは…僕は…かなみさんが…大好きでたまらないってことです…」


「はい…わかりました…」


 まず最初に知っておいて欲しいことはかなみが大好きでたまらないことだと呟いたわたるに、かなみは、わかりましたと頷く。