純白の恋人ー46

「だから…私は…思うのです…紫苑様を幸せにできるのは…あなただけだと…」
 
 
車を運転しながら、今井は、自分個人の意見だが、紫苑を幸せにできるのはあやかだけだと思っていると呟く。
 
 
「今井さん…シンデレラストーリーは夢話です…私にはかぼちゃの馬車もガラスの靴さえありません…」
 
 
今井の呟きに、あやかは、自分はシンデレラになるためのかぼちゃの馬車もガラスの靴も持っていないと答える。
 
 
「だからきっと、あなたにそれらを運んでくれる人が現れると思うのです…」
 
 
あやかの言葉に、今井は、あやかをシンデレラにしてくれる人が現れると自分は思っていると呟く。
 
 
「ありがとう…今井さん…」
 
 
 誰よりも自分と紫苑の恋を見てきている今井の言葉に、あやかはありがとうと返す。今井の言葉が現実になるとは思いもせずに。
 
 
「社長。お迎えにあがりました」
 
 
 紫苑が取引先と会食しているレストランに着き、あやかは、紫苑に、迎えに来たことを告げる。
 
 
「あぁ、ありがとう。こちら、朝宮様。政財界のブレーンと謳われた人だ」
 
 
 迎えに来たあやかに、紫苑は、会食をしていた相手を紹介する。あやかに紹介されたあやかを見た会食相手の朝宮の表情が一変する。
 
 
「雪絵?」
 
 
「どうして…母を知っているのですか?」
 
 
会食相手の朝宮があやかを見た途端に、突然、あやかに母親の名を口走り、あやかは、なぜ母の名を知っているのかと訊ねる。
 
 
「私の行方不明になった娘だ。君は雪絵の娘なのか?」
 
 
「はい…雪江は…私の母です…」
 
 
「信じられん…こんな生き写しの娘が居たなんて…」
 
 
 雪絵とは自分の行方不明になった娘だと呟き、あやかは本当に雪江の娘なのかと訊ねる朝宮に、あやかは、雪江は自分の母だと告げ、その言葉を聞いた朝宮は、信じられないとばかりにあやかを見る。
 
 
「どういうことですか…?朝宮様…あやかさんは…あなたにとって…なんですか…?」
 
 
 紫苑は、朝宮に、あやかは、朝宮と何の関係になるのかと訊ねる。
 
 
「間違っていなければ…彼女は…私の孫だ…」
 
 
 紫苑の問いに、朝宮は、間違っていなければ、自分の孫だと告げる。
 
 
「あやかさん…なぜ…お母様は…白岡の姓を名乗っていたの…?」
 
 
 紫苑は、あやかに、なぜ母の雪江が白岡の姓を名乗っていたのかと訊ねる。あやかの返答次第では、あやかを両親に紹介できると思いながら。