「あやか。あやかじゃないの」
「みはる…」
「私の誘いを断って、紫苑様と参加とは、あやかずるいわね」
「みはる…」
「冗談よ。紫苑様に誘われたら誰しもそうなるわ」
自分の誘いを断っておきながら、紫苑と共に参加とはやるわねと声を掛けてきたみはるに、あやかは、何と言っていいかわからない表情を浮かべ、それを見たみはるは、冗談だと笑い、紫苑のような人に誘われたら誰しもそうなると笑いかける。
「でも、本当に見初めたのかもよ?紫苑様。あやかを」
「そんな事…あるわけないって…言っているじゃない…」
本当に紫苑はあやかを見初めたのかもしれないと声を掛けてきたみはるに、あやかは、そんな訳あるはずがないじゃないかと呟く。
「それに…そのドレス…そんじょそこらでは売ってないわよ?」
「紫苑…さんが…」
「紫苑様が買ってくれたの?やっぱり見初めたのよ。あやかを」
あやかの身に付けているドレス一式はめったに拝めない代物だと声を掛けるみはるに、あやかは、紫苑に連れて行かれるまま、ドレス一式を試着されるままだったからわからないと呟き、その呟きを聞いたみはるは、紫苑は本当にあやかを見初めたのだと声を掛ける。
「すまないね。ひとりにして。こちらの御嬢さんは確か…」
あやかのもとに戻ってきた紫苑に、みはるは、あやかの友人であり、森岡財閥の娘だと自己紹介する。
「あぁ…森岡財閥の御嬢さんか…彼女とは付き合いは長いの?」
「はい。あやかとは小学時代からの同級生なんです」
思い出したように呟いたあと、みはるに、あやかとは付き合いは長いのかと訊ねた紫苑に、みはるは、あやかとは小学時代からの同級生で親友なのだと答える。
「あやかずるいんですよ。紫苑様と来るって言わないで。私の誘い断ったのですから」
「みはる」
「それは、悪いことしたね。でも、友情にヒビは入れないで欲しいな」
紫苑とこのパーティーに参加するとは言わないで、自分の誘いを断ったと笑うみはるを、あやかは制するように声を掛け、それを見た紫苑は、それは悪いことをしたが、友情にヒビを入れないで欲しいと笑いかける。