2014-12-19から1日間の記事一覧

花灯篭ー11

絶望のデザイン画となったデザイン画を見ながら、わたるは、運命の悪戯と片付けるには辛すぎる現実と闘っていた。わかっていたが、こんな近くにかなみを囲っている人間がいるとは思ってもいなかった。社内ではかなみの噂で持ちきりだった。社長が白昼堂々愛…

花灯篭ー10

わたるとかなみが禁じられた関係を結んでから数日後…この日は、社長自ら新規プロジェクトを視察するという事で、社内中が緊張していた。 わたるがいる部署もまた緊張の中にあった。和装デザインは社運がかかっているといっても過言ではないほどのプロジェク…

花灯篭ー9

わたるが帰った後、かなみは一面に広がる絹の海を片付けながら、かつてない程に熱く乱れたひと時を思い返していた。茶会の時に、わたるを見た時、全身が雷に打たれたような感覚に陥ったのは事実…そして…今日…そのわたると禁じられた関係を結んでしまった。ひ…

花灯篭ー8

熱く乱れた後にやってきた沈黙の時間。かなみは乱れた髪を直し、わたるは天を仰ぐ。 夕闇から宵闇に包まれた絹の海の中で、わたるとかなみは禁じられた想いと重なり合った時を思い返す。 「あの…かなみ…さん…」 「はい…」 宵闇に包まれた天井を仰ぎながら、…

花灯篭ー7

「皆川さん…だめです…」 想いを告げた瞬間、より大胆な行動に出たわたるに、かなみは、か細い声でこれ以上の事に及んではならないと呟く。これ以上進めば、わたるを苦しめるだけだとかなみはわかっていた。しかし、唇を奪われただけでときめきが増している事…

小休憩

いま、ここに、私が書いた小説をUPしているのですが、これ、どうやら、三部作なりそうです。 先に言っておきます。 一昨日昨日にかけて後編的なものを書いたのですが、今日、どうしても中編を書きたくなり、書いております。 いまUPしている花灯篭は、こ…

花灯篭ー6

「皆川さん…?」 突然の事に、かなみは戸惑いを隠せなかった。確かに、わたるの日本人離れした顔立ちを見た瞬間、かつてないほどに胸がときめいたが、わたるがそんな行動を取るとは考えてもいなかった。それに、自分にはという思いがあった。恋を恋と気付か…