女神の悪戯ー20

雪菜に覆いかぶさった由紀夫は、雪菜の躰の線を辿るように首筋から順に唇を這わせ、雪菜はその愛撫に、甘い声を漏らし続ける。


「もう…俺を刻み付けても…いいんだね…?雪菜…」


 雪菜の首筋に唇を這わせながら、由紀夫は雪菜の身体に自分の痕跡を残しても構わないかと問いかけるように囁きかける。


「はい…構いません…いいえ…刻み付けて…ください…私に…由紀夫さんを…」


 耳元で囁かれた身体に痕跡を残してもいいかという由紀夫の問いに、雪菜は甘い吐息混じりの声を漏らしながら、由紀夫に自分の身体に思い切り痕跡を残して欲しいと答える。


「雪菜…愛している…」


 雪菜の思い切り痕跡を残しても構わないとう返事を聞いた由紀夫は、雪菜の耳元に愛していると囁いた後、雪菜の首筋に自分の痕跡を刻み込む。刻まれたその痕跡は、まるで、ひとひらの紅い薔薇の花弁のようだった。


「ずっと…刻み付けたかったよ…雪菜に…俺を…」


 自分が痕跡を刻む度に、甘く官能的な声で啼く雪菜に、由紀夫はまだ物足りないとばかりに、雪菜の白い素肌に自分の痕跡を刻み続ける。


今までは雪菜を雪菜の夫から守るために、痕跡を残さないよう細心の注意を払ってきた。でも、もうそんな事考えなくてもいいのだ…雪菜が自分の愛を刻み付けて欲しいと言ったのだから。


「あぁっ…」


 由紀夫が雪菜の躰に愛の刻印を残す度に、雪菜は躰をのけ反らせ、身悶え続ける。その肌は、由紀夫が付けた刻印が解らなくなるほどに赤みがかっていた。


由紀夫は首筋や胸だけでなく、雪菜の背中そして太ももの内側に至るまで自分の痕跡を刻み込んでくる。雪菜はそれが嬉しい反面怖かった。由紀夫に愛されているという嬉しさの反面怖くてたまらなかった。嬉しいと思う自分が怖かった。


「由紀夫さん…私…自分が…怖い…」


 由紀夫が雪菜の躰に唇を落とす度に刻まれる由紀夫の刻印に、由紀夫の愛撫に、雪菜はどこまでも乱れ狂ってしまいそうな自分が怖いと由紀夫に呟く。


「俺も…怖いよ…自分が…どこまでも…雪菜を…求めてしまう…自分が…」


 雪菜の自分が怖いという言葉に、由紀夫は自分もこれでもかと乱れ狂う雪菜を感じてもまだ物足りないと思う自分が怖いと、雪菜の耳元に囁く。


「だから…もっと…感じさせてくれ…俺に…雪菜を…」


 由紀夫の愛撫に乱れ狂う自分を恐れる雪菜に、由紀夫はもっと自分の愛撫に乱れ狂う雪菜が見たい、もっと雪菜を感じさせて欲しいと雪菜に囁き、雪菜の躰に唇を落とし、雪菜の躰に自分の刻印を残し続ける。


もう刻む場所がないというくらいに刻んでいるのに、まだ物足りないとばかりに刻み続ける。