時として、運命の女神は悪戯な恋を作る…許されざる恋という悪戯な恋を作る…ここに運命の女神が作った許されざる恋に落ちた男女がいる…
出逢いは夜の街…出逢った瞬間から二人は恋に落ちた…互いに家庭がありながらも恋に落ちた。
きっかけは路地を出た途端に二人はぶつかった事だった。
「すみません。大丈夫ですか?」
由紀夫は家路を急ぐあまりにぶつかった女性に声を掛ける。今日は愛娘の誕生日で、愛娘の誕生日プレゼントを買って家路を急ぐあまり女性が歩いて来ている事に気付かなったのだ。
「大丈夫です…貴方の方こそ大丈夫ですか…?」
由紀夫にぶつかられた女性に大したケガはなく、逆にその女性は由紀夫を気遣う言葉を投げかけてきた。
「大丈夫です。本当にすみません」
「大丈夫ですから…」
頭を下げ続ける由紀夫に、女性は大丈夫だからもう謝ってくれるなと声を掛ける。由紀夫が顔を上げた瞬間、由紀夫はいまだかつてないほどの衝撃を受ける…初恋の人にあまりにも似ていたのだ。
「あの…どうかしましたか…?」
「いえ…」
あまりに初恋の人と面影が似ているその女性に、由紀夫が心を奪われていると、その女性にどうかしたのかと声を掛けられ、我に返った由紀夫はなんでもありませんと答える。
「その…玩具…入手困難な玩具ですよね…?壊れていませんか…?」
由紀夫の様子を不思議に思いながらも、その女性は由紀夫の持っていた人気が高くて入手困難な玩具が壊れていないかと気遣う。その女性もまた由紀夫に初恋の人の面影を見出していた。
「あ、大丈夫です。」
ぶつかった女性の持っていた玩具が壊れていないかと気遣う言葉に、由紀夫は玩具の方は壊れてないと答える。
「よかった…娘さんを悲しませたのではないかと思って…」
「どうして、娘へのプレゼントだとわかったのですか?」
入手困難な玩具が壊れて娘を悲しませたのではないかと心配する女性に、由紀夫はなぜ自分に娘が居ること、そしてどうしてこれが娘へのプレゼントだとわかったのかと驚きを隠せなかった。
「私…小学校の教員なんです…だから…子供の流行に詳しくて…」
娘が居たことを見抜かれた事への驚きを隠せない由紀夫に、女性は自分が小学校の教員をしているせいで子供の流行に詳しいのだと笑った。