女神の悪戯ー6

シティホテルの一室…雪菜を連れてきた由紀夫は心なしか緊張していた。こんなに緊張するのは初体験以来だろう。雪菜もまた同じだった。
 
「引き返すなら今のうちだよ…?」
 
 小さく震える雪菜の背中を抱き締めた由紀夫は、引き返すなら今のうちだと雪菜に問いかける。引き返すなんて言わないで欲しいという願いを込めながら問いかける。
 
「そんな事…言いません…連れて行って欲しいと…言った時から…わかっていた…事だから…」
 
 由紀夫の問いかけに、雪菜はもう引き返す道は自分で断ったのだから、引き返すなんて言わないと呟く。雪菜とて恋を知らぬ乙女ではない。自分の言葉の意味は十分理解している。それが自分の夫を裏切る事、そして由紀夫に家庭を裏切らせる事になるという事くらい解っていた。解っていたが、もう想いが止められなかったのだ。
 
「後悔しても…知らないよ…?」
 
 小さく震えながらも引き返さないと呟いた雪菜に、由紀夫は後でやめると言ってもやめないけどそれでもいいかと問いかける。
 
「後悔…しません…するわけが…ないじゃ…ありませんか…」
 
 由紀夫の問いかけに、雪菜はここまで来たなら後悔も何もしないと答える。自分は後悔しないが、由紀夫はどうだろうと雪菜は考えていた。幸せな家庭を裏切らせていいのだろうか…?このまま進んで由紀夫は後悔しないのだろうか…?そんな考えが浮かんでは消える事も否めなかった。
 
「雪菜…」
 
 雪菜の答えを聞いた由紀夫は、雪菜を自分の方に向き直らせると、もう一度雪菜に口付ける。その口付けに雪菜が応え、口付けは段々と深いものになっていき、口付けを交わしながら、互いの服に手を掛け合い、少しずつ互いの肌が露出させられていく。
 
「丸岡さん…」
 
「丸岡さんじゃなくて…由紀夫だよ…」
 
 自分を名字で呼ぶ雪菜に、由紀夫は自分を名字ではなく名前で呼ぶよう雪菜の耳元に囁く。
 
「由紀夫…さん…」
 
「そうだよ…」
 
 たどたどしく自分の名を呼ぶ雪菜に、由紀夫はそうだと囁くと、雪菜を抱き上げ、雪菜をベッドへと運んでいく。高校時代から欲していた雪菜をついに手に入れられる…そんな高まった想いが沸き立っていることを由紀夫は感じていた。雪菜もまた運ばれながら、夫には感じたことない高まりを感じていた。